「ウェブログ」
出典元、ネット上に日記などの記録を公開出来るウェブサイトとその仕組み。文字さえ打てればプログラムなど打てなくてもホームページを作れてしまう画期的な機能。
「ブログの事?」、「はいそうです」。
「ウェブログ」はブログが登場した黎明期に使われていた呼び方で、「ウェブ」(Web)の「記録」(Log)を残す形式のホームページとして、「これはウェブログだ」とその名前が広まりかけた。が、略称の「ブログ」がものすごいスピードで定着したため、あっという間に死語と化してしまった。こういった死語が発生する場合に被害が大きいのが、形に残る書籍関係である。「ウェブログ」をタイトルに入れてしまった本は、たった数年で誰にも手に取ってもらえない古臭さを発散する存在になってしまった。歌手が「ポケベル」を歌詞に使ってしまって大後悔する、あれに似たエピソードである。
しかしここまで圧倒的な存在になるとは、登場した当時は考えられなかったのではないか。ホームページの一形態で、一過性のブームだと受け止めた人も多いと思われる。理由として、「ブログ」はホームページに載せる日記として広まったが、別にそれはHTMLを書いて一つ一つアップロードする方法でも普通に実現可能な事だからである。そして日記形式に特化していると、新しい日記に押し出され、ページが流れて行ってしまうというデメリットがある。”自分のホームページ”として、この項目とこの項目は目に入るところに表示させておきたい、という需要とは相反する仕組みだったのである。従来よりHTMLを書いて一つ一つホームページを作っていた人は、HTMLを書けない人が楽に日記だけを書けるサービスだろう、と思って小馬鹿にしていた。……と思う。従来のホームページとブログは、それなりに差別化されるだろうというのが、当時それらをやっていた人たちの見方だっただろう。
が、”楽に書ける”という要素はほかのすべてを補って余りあるメリットだったのである。そのため、これまでホームページを作った事もない層も参入し、大いに受け、凄まじいスピードで普及し、定着した。HTMLが書ける人、書けない人というのもあるが、書けてもわざわざ作るのは面倒臭かったりする。それならホームページビルダー的なものを使って、と言いたいところだがそれをウェブ上でログインするだけでソフトなどなくても使える様にしたのがブログという訳である。そしてそれまでは外部掲示板を借りたり、「CGI」という仕組みで頑張って実装しなければ使えなかった読者からの書き込みが、「コメント」という機能で簡単に使える様になった。最新のルールに則ったHTMLの書き方や、当時言われ始めたSEOなどの「ガワ」部分はすべてブログサービスがやってくれるので、とにかく楽だったのである。
そしてそこに輪を掛けアメーバブログなどの各種サービスが競争しながら発展、芸能人などの有名人が続々とブログを始め、その生活をのぞける体験、繋がれる可能性などでユーザーを取り込みさらに広がっていく。この辺の要素は次第にツイッターへも派生していく。また、デメリットであると考えられていた「記事が流れてしまう」部分も、ブログの機能で従来のホームページっぽく固定されたページを作る事も可能だったので、結果的に「どうにでもなる」と落ち着いた。しかしどちらかというとブログ形式に読者が慣れてしまった、という方が近いかもしれない。驚きの展開というか、面白い発展の仕方をしたものである。
しかしブログはブログで「ウェブログ」のただの省略形な訳で、よくこの名前が定着したものである。アルファベットだと「Blog」だが元のスペルは「Web Log」な訳で。「ぶつ森」みたいだな……。略し方が気取っているというか、ギャル語的な感じもしないでもない。