「ラーメン 新橋店」
出典元、新橋にかつてあったラーメン店の名前。既に閉店していて、今はもうない。
「ラーメン 新橋店」。これは一体どういう事なのだろうか。「ラーメン珍来軒 新橋店」とかならごく普通の店名なのだが、「ラーメン」とだけ言われてもラーメンは料理のラーメンだし、ラーメン屋な事は分かるがこの名称は雑すぎるのではないだろうか。とはいえ「ラーメン屋 新橋店」とされてもやはりまだ微妙である。いや……、まあギリギリありか。
近隣の人も、「ラーメン行こうぜ」で通じるのだろうか。通じないのではないか。どのラーメン屋だよ、という話だ。もちろん、「新橋店行こうぜ」が新橋の人に通じるとも思えない。まあ、他にないネーミングという意味では独創的であると言えるだろう。とがり過ぎたセンスを感じる。同じ様に「カレーライス 有楽町店」や「お好み焼き 有明店」など作ってみてはどうだろう。ん? お好み焼きは普通に通用しそうな気がしてくる。この違いは何なのだろうか。まあしかし、ラーメンはダメだ。「ラーメン」という名前でチェーン店があっても分かりにくいという意味で迷惑な事は確かである。
さて、ネタバレをすると、これは「ラーメン二郎 新橋店」の名残である。「ラーメン二郎」は関東圏を中心に展開するカリスマ的ラーメン屋で、チェーンというよりはのれん分け的に広まっている。正式に「ラーメン二郎」の何々店を名乗るには、一度本店で修行をして認められていないといけないらしい。この新橋店は、詳しい事情は不明だが「ラーメン二郎」の本店から破門されてしまったらしく、初めは「ラーメン二郎」を名乗っていたものの、途中から「ラーメン二郎」の名前を使えなくなってしまった。普通、そうなったら新たな名前を付ける事になる。多少近い名前、例えば「ラーメン三郎」や「ラーメン四郎」でも許されるだろう。
……にも関わらず、この「ラーメン二郎 新橋店」は、看板の新調が面倒だったかお金を掛けるのが嫌だったか、
「二郎」の文字だけを消す、
という行動に出た。そうなると当然、残るのは「ラーメン 新橋店」というざっくりしすぎた名前である。そして他に類を見ない名前の店が誕生してしまった、という訳である。ラーメンデータベースも大変である。店名変更はよくある話だろうが、この名前は想定外だろう。なんじゃそりゃ、な話だが、看板の「二郎」の文字の上にビニールか何かを貼って隠してしまえばまあ目的は達成出来る。店内も同様に隠せばいい。しかし雑である。破門された理由もその辺りにあるかもしれないが実際のところは知らない。「ラーメン二郎」にしては量が少なかったり、麺が細かったりと、ある意味自由度の高いのれん分けである「ラーメン二郎」とはいえ、独自路線に走りすぎてしまったのかもしれない。
そして今はもう閉店してなくなっているので、ちょっと食べてみたいと思っても無理であるし、「ラーメン二郎」にしてはちょっと特殊だったのでそれはそれで興味を引かれる人もいるだろうが、ないものはないのでどうしようもない。面白ネーミングの過去話が残るだけ、である。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。