「アンテナショップ」
出典元、店の形態。「アンテナショップ」と言われて、さて人はどう認識するだろうか。
テレビのアンテナなどは業者が取り付けてくれるので、普段個人が取り付け作業をする事はないだろう。また、CS放送などのアンテナはまさにアンテナ、という形をしているが、これもやはり業者が取り付けたりしてくれるので、あまり触れる機会はない。そもそもそれがないと放送が見られないのだ。セットで付いてくるに決まっている。ラジオについても同様、本体にアンテナは付属している。アンテナショップに行って買って来ないといけない、といった場面はないだろう。と、まあ冗談はこれくらいにして。
気の利いた名前を付けたと思う半分、紛らわしい名前だと思う半分、がある名称である。「アンテナショップ」、簡単に言えば東京などで、「北海道展」や「沖縄展」などをやっている店舗の事を言う。もちろん、それらのご当地メニューが売っている。その場所専門のものをずっと売っている場所もあれば、デパートなどの一部を入れ替わりでいろいろな地方のアンテナショップにして期間限定でコロコロと変えている店もある。特徴としては、当然別の地方にいながらご当地のものが買える事があるが、あともう一つ、容赦なく値段が高い点も大きな特徴として言えるだろう。しかし博多展で「かねふくの明太子」、沖縄展で本場の「サーターアンダーギー」、北海道展で「北海道の生キャラメル」などが売っていたら、思わず手に取ってしまう人もいるだろう。それで売上を上げている以上、需要があるという事なので、なくならずに続いているのだろう。しかしもう少し安くならないものか。
そしてもうちょっと名称がなんとかならないものか。”上手い事言った感”は、確かにある。しかし「アンテナ」と言えば元からある製品の名前なので、知っている人と知っていない人とで勘違いを起こしやすい非常にやっかいな名称である事も間違いないだろう。もっとこう……、「ご当地出張ショップ」とか、「ここだけ名古屋ショップ」とか。そう上手くないか。しかしじゃあ、実際にアンテナを売っているショップは何て言えばいいのだろうか。……家電屋でいいのか。実際、上述した様にアンテナだけ買うというシチュエーションがそんなに存在しない事を考えると、それでいいのかもしれない。「ちょっとアンテナショップ行ってくる」に対する返答は、「ついでに乾電池買ってきて」なのか、「どこの!?」なのか。正解は「どこの!?」なのだが、なんだか釈然としない。認知されたもの勝ち、を地で行く名称である。もはや噛み付く方が野暮か。