「詳しくはこちら(pdf)」
出典元、ウェブページのリンクにたまに使われている一文。よく遭遇するのは家電の説明書ページなど。
イージートラップ。いや、安全装置付きトラップか。
この様なリンクをパソコンで気軽にクリックするとどうなるかと言うと、いわゆる「PDFリーダー」が立ち上がる。メジャーどころでは「Adobe Acrobat Reader」(アドビ・アクロバット・リーダー)だろう。いやまあ、完全に公式なのかな。ソフトウェア業界は公式なものがしれっと名称変更したりするので、基本的にややこしい。一般に浸透している名前としては前述の「Adobe Acrobat Reader」なのだが、実際今使われているメジャーなものは「Acrobat Reader DC」だし、ソフトウェア全体の名前としては「Adobe Acrobat」だが、かつては「Adobe Reader」を名乗ったりしている。ほらややこしい。
これだけでもややこしいのにこのあとはさらにややこしい。
pdfへのリンクをクリックすると「PDFリーダー」が立ち上がると書いたが、それはあらかじめそのパソコンに「PDFリーダー」がインストールされていればの話である。入っていなければ「開けません!」となるのでは”なく”、「PDFリーダーをインストールします」と勝手に話が遷移してしまう。ほとんどの場合は「Acrobat Reader」のインストールに話が進むだろう。単にインターネットサーフィンをしていた人にとって、突然突き付けられるパソコン管理業務。「Acrobat Reader」にだって有料バージョンも無料バージョンもある。そしてそもそも「PDFリーダー」にだって「Acrobat Reader」以外のソフトが存在するのである。戻るべきか? 入れるべきか? 入れるならどれか? その突然の判断が突き付けられる、……つまりトラップなリンクなのである。もちろんそこに添えられた「(pdf)」がせめてもの良心であり、そこに気付けた人はその罠を回避出来る。
ちなみに既に「Acrobat Reader」がインストールされていた場合でも油断はならない。まず久しぶりにそれを起動した事による、バージョンアップ処理をさせられる可能性である。自分のパソコンか他人のパソコンか、共用パソコンかによっても話が変わって来るが、単にバージョンアップというだけでもクリックすればいいという訳にはいかない。まず今開いている「Acrobat Reader」を閉じ、指定のサイトから最新のバージョンをダウンロードして、実行しなければいけない。権限によってはいちいち止まるし、不可能な場合もある。指定サイトによっては英文のインストーラーだったりして、とにかくストレスを掛けてくるスタイルである。ここまで普及したソフトでそこまでお手数をお掛けしてくれるのは相当なものだが、しかし単体ソフトとして限界はあるのだろう。買って来たばかりのパソコンはどうしてもこれが発生するので、それを解決するのはたぶんマイクロソフトかアップルにしか出来ない。
最近ではブラウザがそのまま開いてくれる場合もあるが、それも裏に「Acrobat Reader」が入っていないと駄目だったり、それはそれで結局バージョンアップがどうとか言ってきたりと、すんなりは行かない。そしてこれらの話はパソコンで、そんなに何台も使う環境にないし、という人もいるかと思うが、pdf問題はスマホでもあるのである。スマホの「Acrobat Reader」は重いよ、このフリーソフト使うよいいよ、みたいに言われたらまたさらに話はややこしくなり、結局なんと言うか、手に負えない話である。いや結局と言うならばつまり、安全装置はしっかり付けてくれと、もうちょっと目立つ大きさで付けてくれと、
「詳しくはこちら(pdfなので覚悟を持ってクリックしてください)」
ぐらい書いてくれてもいいと、思うものである。