「平面構成」
出典元、デザインの技法。「色彩構成」とも言うらしい。
絵を描ける人と描けない人とでははっきりと別れると思うが、何気にその中間位置に立っている人というのもいたりする。つまり、「ちょっと人の絵を描いて」と言われても描けない。全く描けない。まあ普通の人はそうである。のだが、しかし「ちょっとこの写真とこの写真、どっちがバランスいいかな?」と聞かれると最適な方を答えられる。また、ホームページの全体配置、文章の段落などの見栄えなども良い方を適切に判断出来る、人。絵は別に描けないが、デザイン感覚は備わっている人、言ってしまえば見る目はある人、というものがいるのである。それがどうしたという話だが、そういう人はもちろん絵を描く事には普通ならないので普段絵を描く事に困らない。しかしごく稀に、なにか自分で絵を用意しなければならない場合があったりするのである。そういう時、今の時代なら頼りになるのはネット上のフリー画像だろう。
が、そこで使える技術の一つが美術の授業でやった人も多いであろう「平面構成」というやつである。ちょっと不思議な名前をしているが説明すれば「あれの事か」と思い出す人も多いと思う。すなわち、紙に適当に直線または円で線をいくつか描き、その線に区切られたところに別々の色を塗って行き、作品にする技法である。隣り合った面に同じ色を使わない事ぐらいしかルールは無い。誰でも出来る。しかし誰でも出来るからこそ、センスが問われる。美術の授業ならアナログなので、あまり繰り返し図案を練る事は難しいだろう。しかしこれがパソコン上ならどうだろうか。「ペイント」でやってしまえば、直線と円と塗りつぶしで簡単に、それこそ30秒もあればひと作品出来てしまうだろう。誰にでも出来るゆえに、そうなって来るともはやそこに介在するのは絵を描く技術と言うより、センス、”絵を見る目”となる。
これがまた面白いもので、いや絵が描けないからこそ、それなのに作品が作れる事が面白いという言い方が正しいのかもしれないが、使う技術に反して完成作品がなかなか良く出来てしまったりするものなのである。もちろん、そこには全体のバランスや、色の組み合わせ方などの技術が介在している。美術の課題に使われるぐらいである。そういうものを磨くためにあるものなのだ。なのでセンスのいい人がパソコンで「これは違うな、こんな感じかな、これはなかなかいいな」とちょっと2、3時間試行錯誤しつつ作ってみるだけで、案外ホームページのトップ画像ぐらいは作れてしまう。そしてそこに文字を載せてみれば、”なにかの絵”でなくとも画像は完成する。おそらくやってみると字を載せた段階でまたバランスが気になるので修正したくなるだろうが、この試行錯誤がもはや絵を描く事と似た様なものである。
そしてよく考えると過去の世界的に著名な画家でも、平面構成っぽい作品を描く人がいたではないか。という事はつまり、これは絵であって、描いた人も絵が描けないとは言えなくなる。別にイラストレーターと名乗っている人だって、顔しか描けない人もいるのである。じゃあ風景が描ければいいか、メカが描ければいいか、写実絵が描ければいいか、デッサンが成っていればいいか、答えは無い。平面構成で作品を作れる人も、絵が描ける人というカテゴリに入るのではないか。そして、平面構成は誰にでも出来る。はてさて、みなさんの立ち位置はどこなのでしょう、という。
言葉遊びの脳遊び。