「~と言ったな。あれは嘘だ」
出典元、映画「コマンド-」より。主人公、ジョン・メイトリックスのセリフ。
と言いたいところだが、厳密には異なる。正確には、
「~と約束したな。あれは嘘だ」
である。が、現在このセリフは「~と言ったな。あれは嘘だ」の用法で、ネットスラングとしてあちこちで使われている。映画の名ゼリフがネットスラング化したのだ。なぜネットスラング化したかと言うと、使い勝手が非常に良いからである。特に、単純に「さっきのは嘘なんですよ」と言いたい時に使うのではなく、以前言い切ってしまったのに間違っていた事を訂正する際に妙に格好良く言えるため、その用途でよく使われる。用例、
「リングシリーズは3部作で完結していると言ったな。あれは嘘だ」。
まあ全体的には、終わったと見せかけて続きがある場合にピンポイントで効果的なフレーズである。別に他人が言ってもいいし、意味が伝わればいい。その意味が伝わりやすいシンプルなセリフである。元々が映画のセリフなのに、改編されてまで定番化するという事例が珍しいのだが、「コマンド-」自体がある意味人気映画であり、名ゼリフ、珍ゼリフてんこもりな事も理由の一つとなっているだろう。さすがに知名度がなかったり評価のとても低い作品からは、印象に残るセリフというものは上がってこない。……まあ、全くないとも言い切れないが。
「テスト勉強は全くしていないと言ったな。あれは嘘だ」。
「このサプリを飲めば必ず痩せると言ったな。あれは嘘だ」。
「今週は天気が崩れないと言ったな。あれは嘘だ」。
やはり堂々と格好良く言い切る事に価値がある。というかそこにしか価値がない。しょーもない嘘を格好良くする効果しか持ち合わせていない。言っている事は嘘を白状しているだけなのだから。本来のジョン・メイトリックスのセリフは本当に格好良いシーンだったというのに、どうしてこうなってしまったものか。しかしまあ、どんなところで放たれたセリフがどんなところで進化して広まるか分かったものではない、を地で行くフレーズである。少なくとも国は飛び越えている。しかし日常生活で聞かないところを見ると、やはりこれはネットスラングなのだろう。「コマンド-」を知らない人でも聞いた事が、もとい、読んだ事のある書き込みだろうが、口に出して使っている人は早々いないだろう。上のテスト勉強ぐらいはあるかもしれないが、やはりLINEなどで使われるチャット向けのゼリフである。