「考えるな、感じろ」
出典元、映画「燃えよドラゴン」より、ブルース・リー演じる主人公リーのセリフ。翻訳前のセリフは「Don’t think. FEEL!」。
ブルース・リーと言えばこの映画だが、ブルース・リーが凄いというだけでなく、という事もなく、ブルース・リーが凄い。それは映画にとって主演とストーリーが重要、というのは自明の理だと思われるが、その両方をブルース・リーがやっている様なものだからである。どのくらい細部にまで絡んでいるかは分からないが、脚本やセリフは契約上正式にブルース・リーが口を出せる様になっていて、実際かなりいじったらしい。ウィキペディアで見た。
そして名作に名ゼリフあり、である。
「考えるな、感じろ」
1973年の公開以降、様々な作品に影響を与えたであろうセリフと、考え方である。いや、シチュエーションと言った方が正しいか。バトル漫画でよく見掛けるシーンである。ありがちなのが、敵が姿を消す、あるいは自分よりとても素早い場合。主人公は、目で敵の動きを捉えられず、攻撃を当てる事が出来ない。形勢は圧倒的に悪く、勝ち筋は見えない。そこで主人公は修行や師匠からの言葉を思い出したりする回想を挟み、心の中で自分に言い聞かせるのだ。
「考えるな、感じろ」
的な事を。まんまだと「あ、燃えよドラゴンだ」になってしまうので、アレンジされる事が多い。そして主人公が目を瞑ってみたり、それを見たギャラリーが驚いたりすると効果が高い。頭で考えたり目で見るのではなく体で気配を感じ、相手の姿を捉えて攻撃は当たり、勝利する。さらに言うならこのパターンは勝利フラグでもある。ここまでしておいて負ける展開は早々ないだろう。王道の展開だが、往々にして王道とは読者に待ち望まれている展開でもあるので、スカッと決まればそれはそれで良かったりする。裏をかけばいいという訳でもないのである。
が、やはりちょっとこのパターンは多過ぎるかな、と思わないでもない。「燃えよドラゴン」が初出かは分からないが、バトル系の漫画、アニメ、特撮、それにドラマでも映画でも、この”ピンチになって直感に頼って勝つシチュエーション”がやたらと多い。格好いいシーンだから使いたくなるのか、格上との対決で強引に勝つための説得力のある勝ち方だから使いやすいのか。逃げとは思わないがちょっと使い古された手法なので、創作者の人たちは多少、そう受け止める人がいるという事も考えた上で、ストーリー展開に組み込んでもらいたいものである。考えるのを諦めるな、発明しろ。