「……嫌な事件だったね」
出典元、アニメ「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」より。富竹ジロウのセリフ。
アニメのセリフだが、もはやネットスラングでもある。ネットスラングの場合、「嫌な……事件だったね……」などのように少し改編して使われる事が多い。
アニメでこのセリフが使われた際もインパクトがあったが、これがネットスラング化した理由は、何しろ汎用性が高過ぎるところにある。何か悪い事の話題の際に、これを言っておけば済んでしまうぐらいの魔法のセリフである。しかも、元ネタを知っている人に使えばクスリと来る便利なオマケ付きである。「ひぐらしのなく頃に」のLINEスタンプ40種にも選出されている。しかし富竹ジロウは別に「ひぐらしのなく頃に」のメイン人物ではない。いわゆるサブキャラである。サブキャラが一度だけ使ったセリフがこのように広まってしまうとは、世の中面白いものである。
「ひぐらしのなく頃に」はホラーもののアニメである。パッと見た感じはゆる~い美少女アニメ、しかも絵柄としては小さな女の子向けっぽい感じ、頭身である。しかし中身はホラーである。主人公の男一人に対し、美少女複数名という配置なのでハーレム物とも言えるが、その日常生活が次第にきな臭くなって行き、最後は血を見る惨劇となる。見た人の感想はおおむね、「この絵柄でこの話をやるなよ……」かと思われるが、それも制作者側の狙いなのかもしれない。そういう意味でも有名な作品である。ちなみに、ちゃんと怖い。主題歌がいきなり不協和音が入っていたりして怖い。ついでにヒロインも怖い。死者も出る。しかしループ物のため、「……嫌な事件だったね」レベルの惨劇が起こってメインキャラが大勢死んでも、次の回からは巻き戻って普通にみんな生きていて平和なシーンから始まる。訳が分からない。
「……嫌な事件だったね」だが、本当に汎用性が高い。ネットスラングで使われる際は、「嫌な……事件だったね……」と使われる場合が多いかもしれない。「不幸な……出来事だったね……」や、「悲しい……事件だったね……」などのように少し変えて使っても、これの改編なんだなと意味が伝わってくれるので本当に使い勝手が良い。友だちが赤点を取ったとか、試験に落ちたとかで落ち込んでいる時にかけてあげれば、慰めになるかもしれないが、怒られるかもしれない。
使われすぎてどれが本家か分からなくなるぐらいである。本当に、ただのサブキャラのセリフなのに。こういう要素を偶発的に含む作品が、名作と呼ばれるのかもしれない。あ、そんな事もないか。ただ、人々の記憶には残る。もとい、アニメファンの記憶には残る。