「皿ッ」
出典元、アニメ「シュタインズ・ゲート」第14話より。岡部倫太郎(おかべ りんたろう)の注文ゼリフ。
この作品の主人公、岡部倫太郎が牧瀬紅莉栖(まきせ くりす)と待ち合わせた店で、岡部が店に入るなりした注文である。店は牛丼屋。デートではない。この第14話はストーリーが激動の展開を迎えており、”まゆりの死”をどうにかして防ぎたい岡部が、何度試しても失敗してしまい自暴自棄になりかけていたところ、それに気付いたクリスから助けの手を差し伸べられるという、物語の転換点となる場面だった。元々頼りになるとしたらクリスしかいなかったが、時系列からして”こと”が起こる前のクリスにしか頼れない。もう時間のない状況から、クリスの提案で5時間タイムリープでさかのぼり、5時間前の事情を知らないクリスに説明して納得してもらった上で相談するという、ややこしい展開である。因果関係がおかしいが、因果を相手に戦いを挑むのがシュタインズ・ゲートである。
「皿ッ」
しかしその重要な話をする場所が「牛丼専門サンポ」、牛丼屋である。岡部は入店と同時に注文するという「深夜食堂」ムーブをかますが、そもそも「皿」とは。皿を食べるのか。牛皿……か? しかし「牛皿」というメニューは別で存在するのである。シュタインズ・ゲートは秋葉原の実在する店をちょいちょい登場させる事で有名な作品で、この「牛丼専門サンポ」も、「牛丼専門サンボ」という実在の店をモデルとしている。店の外観から内装、メニューから店内のルールまでそのままなので、知っている人は「あっ」となる店である。しかし分からない人にはホント分からない。
「サンボ」は秋葉原がオタクの街になる前からずっとやっている、チェーンではない牛丼店で、そのたたずまいと存在感から秋葉原を訪れる人々に強い印象を残す店である。牛丼屋なのでもちろん牛丼を出しているが、その定食形式であるところの牛皿も出している。現在は値段が変わっているが、シュタインズ・ゲートのアニメ準拠で言えば以下となる。
牛丼 並 四〇〇
大盛 五〇〇
お皿(ご飯付) 四五〇
牛皿(ご飯付) 六五〇
味噌汁 五〇
玉子 五〇
ん……。「お皿(ご飯付)」と「牛皿(ご飯付)」の違いとは……?
サンボは客に想像力を使わせるスタイルの硬派なお店なのである。硬派っぷりはガチで、ヘッドフォン着用禁止、携帯の使用禁止、会話は小声で。店内は静まりかえっており、うるさいとつまみ出される。なお、質問も禁止……。えええええ。だからつまり「お皿」と「牛皿」の違いは想像するしかない。値段からして「牛皿」の簡易版が「お皿」なのかな、という気がするが、定食であろうそのメニューに、味噌汁は付くのか小鉢みたいなのがあるのか、さっぱり分からない。携帯を使って怒られて、会話をしていて怒られて、お皿がなにかを聞いて怒られる。それがサンボである。答えを得るには自身で経験するか、先人の知恵を紐解くしかない。
……先人の知恵を紐解き、答えを言うと「お皿」と「牛皿」はご飯と牛肉とが別々に盛られている定食形式のメニューである。定食だが味噌汁も玉子も付かない。皿と茶碗の二つだけである。欲しい場合は別で注文する必要がある。そして「お皿」の大盛が「牛皿」で、つまり「牛皿」の並が「お皿」で、「牛皿」の大盛が「牛皿」という事らしい。ややこしいなおい。ただし牛丼と「お皿」は少し違いがあり、牛丼は牛肉とタマネギだけなのに対し、「お皿」の方は豆腐としらたきが入っている。さらに量も「お皿」は並盛の量なのだが、「牛皿」は牛丼の大盛りより多く、つまり特盛的な量が盛られている。だから「牛皿」の特盛りが「牛皿」と。ふむ、要るよね説明が……。
先の読めないストーリー展開、キャラ立ちしまくった登場人物、2ちゃんねる用語の飛び交うありえないセリフ回し、しかし食べているのが牛丼で、店がもろにあの有名なサンボという……。おまけが濃いと言うか、リアリティが来いと言うか……。早々作れないよね、こんな作品。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。