A「お前は俺か」
A「すまん、俺だった」
出典元、どこかのスレ、誰か一人の2回の書き込み。
おい、とつっこまざるを得ない書き込みである。この2回の書き込みは少しの間をおいて書き込まれた。内容の詳細について覚えていないのは申し訳ないが、「お前は俺か」についてはある意味ネットスラングである。掲示板上で大勢の人が特定のジャンルの話題の体験談を書いている時に、偶然似た様な状況になった人がいた際、共感の意味を込めて「お前は俺か」といった風に使われる。「おまおれ」と略される事もある。共感なので悪い意味ではなく、その後「(・_・)/\(・_・)ナカマ!」なり握手のアスキーアートなりが発生する場合もある。微笑ましい光景である。
しかし今回の場合は違う。そもそも「超対話」ですらない。まさかAとAのものが出て来るとは……。おそらく書き込んだ人は、この掲示板に貼り付いていたのだろう。まず自分の体験談を書き込んで、他の人のものもずっと見ていた。そして自分の書き込みの記憶が薄れた頃にまた上から見ていって、お、これまさに俺と同じ状況じゃん、「お前は俺か」!
……。
あ、さっきの自分の書き込みだったハズカシー。というやつである。
IP表示でもされていたのだろう。ちょっと確認すれば誰にでも分かる状態だった。本人にとっては本当に恥ずかしい。という訳で正直な彼は、つっこまれる前にあっさりとやっちゃった事を認めた訳である。しかしこれはこれで周りに取っても珍しい面白さなので、失笑者が多発した。こんなケースは稀である。一人で何やってんの状態だが、狙ってやっていたのなら大したものである。しかしそこの空気として、素でやってしまった感じは伝わって来ていた。
「お前は俺か」はなかなかに秀逸なフレーズで、現実世界では使われていないにも関わらず掲示板の世界ではよく使われるフレーズである。つっけんどんな言い回しながらも意味は「お、一緒じゃーん」なので、特に話題のカテゴリー分けをされている掲示板という世界では嬉しくなる誤算であり、それなりによく発生するものでもある。既に仲間意識のある集団で、さらに共感を得られて嬉しい、といったところか。
そして今回のケースではない「やっちゃった系」でもよく発生する。しくじり自慢というものは自慢する意味はないのだが、案外会話のネタとしては面白いものである。もうとっくに分かりきってみんな知っているような情報を、完全に一から調べ直して数時間掛けてやっと理解し、もうこれブログにまとめてやろうか、と思ったらウィキ的なところにとっくに綺麗にまとまっていた、など微笑ましい失態である。が、それを掲示板に書き込んだら「お前は俺か」と言ってくれる人がいて、実際に同じ事をやっていたと知ったら嬉しいだろう。なかなか面白い位置にあるネットスラングであり、今回の使い方のケースは非常に稀である。