「日本タイトルだけ大賞」
出典元、新刊JPの主催するコンテストの名称。発想が斜め上。
「日本タイトルだけ大賞」。書籍関連のコンテストである。……ん? とハテナマークを浮かべるのはリアクションとして正しい。少し不思議な事を言っているからである。なんだこのコンテストは。え、タイトルだけ? 公式サイトのキャッチにはこうある。
タイトルが秀逸な本を勝手に表彰!
なるほど。……え~っと? 公式サイトよりウィキペディアの説明文が、主旨の分かりやすいものだったのでこちらも引用してみる。
受賞の判断基準は「国内での出版書籍のタイトルのみのコピー、美しさ、面白さ」であり、内容の優劣は一切問わない。
という、ワケノワカラナイ、……コンテストである。いや、分からない事は、ないのだが。
思い切った事をするなぁ、と感じてしまう、思い付いたとしても大規模にやるのはなかなか勇気のいる企画である。しかしそう言われると、どんな作品がエントリーされたんだろう、ちょっと見てみたい、と人を惹き付ける力はなかなかある。かなりある。発想の勝利でもある。色々な出版社から出ている本を勝手に表彰してもいいのか、という疑問もあるが、元々本のコンテストなんていうものはそんなものなので問題ないらしい。まあ、褒められて怒る人がいないから、という部分もあるかもしれないので、その理由だとこのコンテストはギリギリなところを行っている気もしないでもない。
「日本タイトルだけ大賞」は年ごとに開催されていて、その一年で実際に出版された書籍のうちから、最も面白い本のタイトルを表彰するものである。中身を読まなくてもいいので審査に時間が掛からないのが大いなるメリットか。でもこういうのは、出版社がやるよりユーザーを巻き込んで探させた方が面白そう……と思ったらとっくにツイッターで募集を行っていた。確かにこれなら「面白いタイトルの本を探して来てやるぞー」という一般人の力が有効に生きるだろうし、実際に出版された本なのかはアマゾンで調べればいいので運営側も楽である。企画したところが勝手に選出して勝手に表彰するよりずっと、ユーザーの食い付きやすいコンテストだとも言える。もし架空の本のタイトルでこれをやってしまうとただの大喜利になるので、実在の本縛りでやる事に意義があるのかもしれないし、気になり過ぎたら実際に買えばいいので、そういった面では実益を兼ねている。……うん、ギャグと実益を兼ねている。
気になる人は公式サイトで公開されている結果発表を見ればいいが、受賞していなくてもエントリーされた作品群にも面白いのがたくさんあるのでそちらも見る価値はある。ただし、ここで興味を惹かれて、つまらない本を手に取ってしまう可能性もそこそこ多分にあるので注意が必要である。なにしろ中身の良さに担保のないコンテストなのだから……。