「ではまず私がたたき台になりましょう。」
出典元、不詳。おそらくどこかの掲示板の書き込み。
たたき台とは、ある計画や企画などを、しっかりとした手順を構築する前に”とりあえずやってみる”事を言う。ここでの会話のやり取りは不明だが、何か争点があってそれを大勢で話し合っていたのだろう。プログラムで作るシステムの設計の話だったかもしれない。しかし大勢で懸念点や問題点を出しているだけでは話が進まないこともある。そう、実物をまず作って動かしてみて、そこで発生した問題こそが身があり実のあるものなのである。
「ではまず私がたたき台になりましょう」。手間も時間もかかるというのに、自らスッと言うこの格好良さ。これは掲示板で行われた会話である。会社の会議ではない。強制されたものでもない。ネット上の、いつそこから離れてしまうかも分からない人たちとの会話である。作るだけでなく、アップロードしたりバージョン管理をしたり、話し合いはここで出来るかも知れないが意見の取りまとめもしなければならないかもしれない。それを自分から言い出したのである。
おそらく同じ趣味の同志が集まる掲示板での会話だが、普通はなかなかこういう話にはならない。指揮系統が統一されなければ、話をまとめるのは非常に難しいからである。しかし、そういうものだからこそ、一人の勇士がこうやって損な役割を引き受けて、強引にひっぱっていくことが、新しい事を始めること、ひいては世に初めて生み出されるものが出来る原動力なのかもしれない。このエピソードの詳細もどうなったかも不明だが、このセリフだけ取ってみても、セリフを発した人の格というものがわかるものである。おそらくこの人は、人を使う側の人間になっているだろう。
そしてもちろん、旗揚げ役はそれなりのカリスマが必要だが、それに伴う技術力も必要になる。なかなか言える事ではなく、格好いいと思うのである。