「ゼロがあるだろゼロのパーツが!」
出典元、アニメ「ゾイド新世紀/ゼロ」最終話26話より。バラッドのセリフ。
いわゆる”燃えるシチュエーション”の一つに挙げられるものに、「最初に覚えた技でラスボスを倒す」というものがある。変形型で「最初に手に入れた装備でラスボスと戦う」や、「第1話で使ったセリフを最終話でも使う」などもある。
「ゾイド新世紀/ゼロ」はゾイドシリーズの作品で、獣型ロボットに乗って戦うアニメである。動物をメカにした上に人間が乗り込んで操縦するという、なんだか凄い設定の作品だが、そこまでしておいて戦闘内容が比較的重火器戦だったりするので、なんかもうなんかもうすごい作品である。しかしそれが格好いいのだから仕方がない。特筆すべきは動物の中に”恐竜”が含まれている点か。ゾイドと聞いて恐竜メカを連想する人も多いだろう。
作中にはたくさんのタイプのゾイドが登場するが、初めに使っていた機体を途中で乗り換える仲間もいる。これはこのタイプのアニメによくある手法で、というかバンダイアニメによくある手法で、たくさんの機体をオモチャ化して売るためである。アニメのあのキャラが乗ってるゾイド、買って! しばらくして、新しいゾイドに乗り換えた。これも買って! ……おそらくガンダムが流行らせたやり方だが、子供は嬉しいんだから何の問題もない。
そして、特に主人公機は人気が出るので、なるべく乗り換えが発生する。この作品では乗り換えではなかったが、主人公ビットの乗るライガーゼロは換装を変えることでいくつかのタイプに変形する事が出来る。色も形も戦い方も変わる。初期装備のままがゼロで、イエーガー、シュナイダー、パンツァーと換装を変えて戦っていくことになる。
換装とは言っても一度そちらに移ると、上記にあるおもちゃ人気の都合で、ちょこちょこと使い分けたりせず、大体は新しい換装が使われる。一度強い技を使うと、次に出てくるさらなる強敵にインフレの関係上前の弱い技が効かない法則と同じである。しかし最終話、まだラスボスとの戦いが残っている中で、最後に残っていた最新のパンツァーの換装を使い切ってしまった。仲間のバラッドから通信が入る。「ビット、ここは俺に任せて、早く換装しろ」。換装ったって……。
「ゼロがあるだろゼロのパーツが!」
おお……!
観てる側の「もう使わないんじゃないの?」の気持ちを良い意味で裏切る、初期装備でラスボスに挑む最高に熱い展開の誕生である。そしてその最終決戦は、クライマックスにふさわしい視聴者が思わず「うわっ」となるようなド派手なバトル、これまでの集大成、前作と絡めたにくい演出と、言ってしまえばロボットアニメ作品の歴史に残る、屈指の名勝負となった。王道シチュエーションをこれでもかと詰め込んでプロフェッショナルが全力を注げば、それは面白くないはずがない。