「発売前より知名度こそ高かったが、OPムービーにでも使われるんだろうな、という大方の予想を裏切り、まさかの通常戦闘曲であった事で、ユーザーの度肝を抜いた。知らない人に話したら驚くだろう」
出典元、ニコニコ大百科「Reach Out To The Truth」(リーチ・アウト・トゥ・ザ・トゥルース)の項目より。何気ない一文。
「Reach Out To The Truth」は、プレイステーション2のゲーム「ペルソナ4」の戦闘曲である。RPGの戦闘曲で、これの何がユーザーの度肝を抜いたかと言えば、この曲は歌唱のある歌だったのである。RPGの戦闘BGMが、……歌?
そう、ゲームミュージックと聞いて誰もが思い浮かべる声のない「器楽曲」、いわゆる「インストゥルメンタル」ではなく、普通の歌であるところの声のある「声楽曲」だったのである。こちらは「インストゥルメンタル」の対義語としては「ボーカル」と言うらしいが、普通に「歌」でも通じるだろう。「ペルソナ4」は普通のRPGと同じく戦闘に入ると画面が切り替わるが、そのたびにこのボーカル曲が流れたのである。RPGの戦闘曲を歌っちゃうのはちょっとありえないというか、それまでなかっただけにコロンブスの卵だったのかもしれない。誰も禁止してないけど誰もやらない、という。いや、思い付いた人はいても、上司の許可が下りなかったか。
ゲームに使われるゲーム用の歌、という事で、オープニングテーマを書き下ろしてもらったり、音ゲー関連はそういった歌もゲームには使われていたが、そのボーカル曲をRPGの戦闘曲にしてしまうというのがなかなかに奇抜だった。そもそもゲーム音楽は繰り返し聴かれる曲のため、飽きの来ないメロディラインを作るのが作曲家の永遠のテーマである。それをボーカル付きでやってしまうとは……。おそらくオープニング用にでも用意されていた曲を開発者が聴いていて、どこかのタイミングで「これスルメ曲だな……、よし!」と強引に決めてしまったのだろう。憶測だが。まあ失敗しても伝説になるし、という想いもあったのかもしれない。結果好評を博し、「ペルソナ」シリーズではそれ以降、戦闘曲を歌っちゃうのが定番となる。
あとこの曲はボーカル曲と言っても、英語歌詞なのである。英語の歌は”意味が入って来ないので思考の邪魔をしない”という理由でオフィスでも使われている聞き流されソングだったりする。その要素もあり、そこまでしつこさが残らないからと採用されたのかもしれない。とりあえず「知らない人に話したら驚くだろう」はまだ有効なので、ちょっとしたうんちくとして人に話してみるといいかもしれない。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。