「時の流れに埋もれし 偉大な汝の名において」
出典元、神坂一のライトノベル小説「スレイヤーズ」シリーズより、黒魔術「竜破斬(ドラグ・スレイブ)」の呪文詠唱の一部。作品を代表する魔法である。
詠唱はこの部分だけでは無いのだが、この部分を取り上げたのは、小説版とアニメ版でこの部分だけ微妙に違うからである。ライトノベルというジャンルを築き上げたと言ってもいいほどヒットした作品「スレイヤーズ」とはいえ、アニメの影響は非常に大きかった。アニメのというか、アニメと林原めぐみの影響が非常に大きかった。原作として小説があり、それがアニメ化したという流れは間違いないため、アニメが原作という訳では決してないのだが、アニメ版もまた「スレイヤーズ」の大きな柱であり、知名度で言えば原作小説を超えていただろう。
で、「竜破斬(ドラグ・スレイブ)」の呪文詠唱である。原作小説のこの部分はこの様になる。
「時の流れに埋(うず)もれし 偉大な汝の名において」
そしてアニメ版だとこうなっている。
「時の流れに埋(う)もれし 偉大なる汝の名において」
まあ「スレイヤーズ」も昔の作品ではあるので、今現在論争が起こっている訳ではないが、当時小説から入ったファンはアニメで聞いてとりあえず違和感を覚えただろう。「なんかちょっと違う!」と。実際、何で変えたのかは時の流れに埋もれてしまってなかなか当時の事情が分からない。アニメの監督がなんとなく変えたのかもしれないし、よくよく調べると日本語的におかしいから変えたのかもしれない。しかしまあ、原作者の神坂一氏は小説家の中ではかなりアニメに協力するタイプの人なので、アニメ監督が勝手にやったという事も許可を取らずにやったという事もないのだろう。馴染みという意味では変えなくても良かったと思うし、小説から入ったファンが違和感を覚えるデメリットを考えるとやはりなにかの事情があったのだろう。「竜破斬(ドラグ・スレイブ)」は「スレイヤーズ」とその主人公「リナ=インバース」を代表する魔法だが、詠唱の一部分にこの様な不思議なエピソードを持つ事となった。一度ぐらい小説版の方を林原めぐみに詠唱してもらいたいと思うファンも多いだろう。
厨二病的格好良さが臨界点を超える「竜破斬(ドラグ・スレイブ)」原作小説版の詠唱は以下となる。
――黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅(あか)きもの
時の流れに埋(うず)もれし 偉大な汝の名において
我ここに 闇に誓わん。
我等が前に立ち塞がりし すべての愚かなるものに
我と汝の力もて 等しく滅びを与えんことを――竜破斬(ドラグ・スレイブ)!
ちなみに原作では手から撃ち出す魔法ではなく、対象を中心から爆発させるというかなり防ぎ様のない、容赦ない魔法である。が、さすがにアニメーション的に地味になってしまうので、アニメ版では手から撃ち出す形になった。これは文句を言う人もいない良改変だと、皆思った事だろう。シリーズとなり何作も作られたアニメ版「スレイヤーズ」の第1話では、必ずこの魔法が炸裂する。林原めぐみ的に言えば、
「ドラグ・スレイーーーブッ!」
である。
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