「野菜上限」
出典元、サンドイッチのファーストフード店、サブウェイで注文可能なカスタマイズ方法。反則的呪文。
サブウェイである。店員からされる質問の多さで有名な、サブウェイである。「うっさいねん全部いい感じにしろ」と言いたくなる、サブウェイである。最近急激に店舗数を減らしているとニュースになっていた、……サブウェイである。さもありなん。あれだけ注文が面倒くさければ客足も遠のく。今まで他の国では上手くいっていたかもしれないが、せかせかした日本人にあの注文システムは受け入れにくい。昼時に1時間しかないのに、あの質問数と回答数を客ごとに行っていて、それから作り出し、それが列を成していたら敬遠する気持ちも分かる。行列が当たり前になったら、店員だってストレスが溜まるだろう。細かい事を言えば「パンを焼く」事を頼まれた場合、頑張っても短縮出来ない時間が発生する。一つ一つは短い時間とはいえ、積み重なれば大きくなるだろう。サブウェイは時間に余裕のある時に利用したい。
そもそも肉! 肉! 肉! ケチャップはトマトだから野菜だーHAHAHA! なアメリカンなミート大国で、意表を突いて野菜を売りに出したところ上手く行ったのだろう。知らないが。日本人は元から野菜をそれなりに採るし、たまにファーストフード店に行く時というのは、ジャンクな食べ物をたくさん食べたい気持ちな事が多いのである。なかなかヘルシーさを前面に押し出す考えにはならない。ただし、……、
別に美味しくない訳では無いのである。
ここが発明ポイントで、もちろんアメリカでだっていくらヘルシーでも美味しくなければ流行らないだろう。驚きなのは、あのぶ厚いパンに野菜を挟んでドレッシングを掛けるだけで美味しい点。肉を入れないメニューがあり、その事からも分かる通り、それだけで美味しくさせる技が使われているのである。それは野菜の組み合わせかもしれないし、野菜の新鮮さかもしれないし、野菜を挟むのに向いたパンのチョイスにあるのかもしれない。しかしどれもカスタマイズ出来る事を考えると、パンになにかを挟んで濃い目のドレッシングを掛けた時点で、一定の美味しさは担保されていると言えるのだろう。ファーストフード店の中でも入った事がない人の多い方の店だとは思うが、一度食べてみると目から鱗が落ちる美味しさだけは保証出来る。注文方法はググれ!
……注文方法をググったところで、ここで上級魔法の紹介である。サブウェイの野菜にはオリーブなど少しクセのある物も含まれるので、店員から嫌いな野菜がないか「野菜は全部入れてよろしいですか?」と聞かれる事になる。もちろん嫌いな物がなければ、もったいないので全部入れてもらえばいいだろう。ここは細かいカスタマイズも可能で、「タマネギなしで」以外にも、「タマネギ少なめで」など、その場で作る利点を生かしてかなりの部分で融通を利かせてもらえる部分である。そしてポイントは、「少なめで」のバリエーションに「多めで」も存在する点である。「タマネギ多めで」が可能であり、タマネギだけが可能なのでは無く、全ての野菜の多めが可能なのである。もちろん、無料で。
それなら全部多めにしてもらえばお得じゃないか。
YES! つまり、ファーストフード店に行こう、今日はマックやモスじゃなくてサブウェイに行こう、最近野菜あまり採ってないから野菜をいっぱい食べたいな、という時に最適なのである。というかそういう需要を満たすのが日本におけるサブウェイの立ち位置だと思われる。ならば、出来るだけ多くの野菜を食べたい。「野菜全部ちょっと多めにしてもらっていいですか?」、「はい、承知いたしました」。うん。……。……。「野菜全部かなり多くしてもらっていいですか?」、「はい、承知いたしました」。これは……! ちょっとググって来る! カシャカシャ、ターン!
「野菜上限」
サブウェイの野菜は「野菜上限で」と頼むと限界まで入れてくれるらしい。ゴゴゴゴゴ……。あ、でもちょっとネットで知ったのを試すみたいで恥ずかしい。「野菜全部、出来るだけ多く入れてもらったり……、出来ますか?」、「はい、野菜上限ですね」。店員だけ言った、これは……、専門用語だー!!
……という訳で、「野菜上限」と頼むと本当にサンドイッチがサンドイッチたり得る上限まで野菜を入れてくれる。もちろん、無料で。一応2倍ぐらいらしいのだが、インパクト的には2.5倍から3倍ぐらいのイメージがある。ちなみに食べるのは少し大変である。しかしここで量を稼げるとなると、敢えて肉を挟んだサンドイッチを選ばなくても、野菜のみや野菜にチーズだけ、ぐらいのものでもお腹いっぱいになったりするので、とにかくお得感は満載である。
ココイチのカレーが、おかわり無料がネットで広まり、頼む人が増えてしまったせいで有料になってしまったエピソードがあるが、サブウェイは各知名度の差はあるが今も特に問題なく「野菜上限」をしてくれる。頼む人がまだそれほどいないのか、野菜はどうせ滅茶苦茶大量に仕入れているから気にならないのだろうか。とにかく客としては嬉しさしかないサービスなので、なくなる事なく続けて欲しいものである。ちなみに「野菜限界」という似た魔法もあり、その店舗ごとの限界点まで入れてくれるらしい。「野菜上限」とどちらが上かはよく分からない。もしかしたら、……神の上かもしれない。