「本当にすまないと思っている」
出典元、海外ドラマ「24 -TWENTY FOUR-」(トゥエンティフォー)の主人公、ジャック・バウアーのセリフ。代表するセリフの様な扱いを受けるが、そんなに頻繁には使っていないらしい。
「本当にすまないと思っている」とは、ジャック・バウアーが本当にすまないと思って”いない”時に使うセリフである。
この作品は最初から最後までお尻に火の点いた展開なので、”これ”を防ぐためにはなにをしてでも、という使命感を持つジャックが、ヒートアップした状態で凶悪犯と相対するシーンも多い。なにをしてでも、にも限度はあるはずだが、テロリストの家族を連行して銃を突き付けて情報を吐かせる、というのは限度を超えていないのだろうか。「本当にすまないと思っている」と言われても、そう言えばいいというものでもない、と視聴者が感じる展開も多い。大人気シリーズとなったドラマの、正義側の主人公にしてはジャックは恐ろしいやつである。
アメリカ人の特徴というか、日本人より強く表現されるため感じられる事だが、特に家族の安否がからむとジャックの暴走が酷い。もはや娘を人質にしてしまえば大統領を暗殺ぐらいしてくれそうな人物である。主人公なのにおっかない。そしていつもヒヤヒヤの展開を魅せてくれるために、続きが非常に気になるのである。しかしそのヒヤヒヤの中には誰かに隠れてなにかをこそこそ、とかもふんだんに含まれているため、そっち系のヒヤヒヤ好きには溜まらないだろうが、苦手な人は胸がむずむずしてしまうだろう。
ただ、ジャックはそれなりに偉い地位にいるくせに単独行動を取りがちで、普通にかなり強いので、主人公補正とはいえ悪人はバンバンやってしまっている。ピストル一つで大勢を相手に、凌ぐどころが殲滅してしまったりする。こいつの行動大丈夫か、というところもこの作品の魅力になっている、……なってしまっているのが問題なのだろう。作品の人気とキャラの知名度を考えるとおかしなほど、ジャックの行動や選択が視聴者から批判される事は多い。
「24 -TWENTY FOUR-」は、24時間を1時間1話ずつリアルタイムで進める、というのがシリーズの特徴である。つまりいつも後半は寝不足……、は置いといて、集団脚本体制を取っていていくつものストーリー展開を用意し、視聴者からの反応を見つつ続くストーリーを調整しているらしい。「ここでこれをする」、「ここでこれをしない」を保留にしておいて直前に決めるぐらいなら分かるが、「こいつが実は裏切る」、「こいつは怪しかったけど本当に味方」、までの選択肢を用意していたりするものだからとんでもない話である。伏線もどうやって張っているんだか。ちなみに予想を裏切る展開で制作側が驚かせたいのは視聴者だが、”役者も驚くので”、本人も「え、私裏切るの?」とビックリしたエピソードがあるらしい。
しかしまあ話題を呼べばいい訳ではないが、行動に賛否を呼びまくるのがジャック・バウアーという人物である。シーズンによって違うがそれなりに偉い位置にいる上に大統領と繋がりもあったりするので、「ここは俺がやる!」、というか「俺が尋問する!」と言って二人きりになると、交渉材料として正義の味方が言っちゃいけない様なものまで提示したりするから視聴者がドン引きするのである。しかし最終的に事件は解決させるので結果オーライという事になっている。
「本当にすまないと思っている」
と口では言うけど、絶対思ってないしすぐ次行っちゃうよねこいつ。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。