「ポルノグラフィティ」
出典元、日本のバンドの名前。この記事にはセンシティブな内容を含む可能性があります。
音楽をやっているロックな野郎共がとんがったバンド名を付けるのはよくある話だが、こっちの意味でとんがった名前を付けてくれたバンドがこれだけ売れてしまうとは、世の中分からないものである。もはや日本を代表する人気バンドの一つの「ポルノグラフィティ」だが、これまで音楽番組にも散々出演している訳で、放送関係の人もどこまで言っていいのか大変だっただろう。直訳すればどうとかじゃなく、そのまま読むのにも支障が出る……はずだが。どうなのか。
一説によればデビューシングルの「アポロ」が売れた時、「アポロ」がバンド名で「ポルノグラフィティ」が曲名だと紹介されてしまった事故エピソードがあるらしい。確かに「アポロ」というバンド名はありそうだし、「ポルノグラフィティ」という曲名は単発としてはアリっぽい感じもする。しかし「ポルノグラフィティ」がバンド名として知られて行っても改名しろとか言われなかったのは、おそらくだが、どうせ一発屋だと思われていたからではないだろうか。ちょっと危ないバンド名だけど、まあそのうち消えるでしょ、と。たぶんこれは当時のバンドブームの影響で、有象無象のバンドが大量に現れては消えていたのをみんな見ていたからかもしれない。そしてそこには、「アポロ」の余りにもな名曲っぷりと、一発目でこれを出してしまったら後がキツイだろうという業界内の予想が……、あったのかもしれない。しかし「ポルノグラフィ」は一発屋ではなかった。この名前が音楽業界に居座ってしまったのである。むしろこっちの方が事故だったかもしれない。「アポロ」で終わらなかったのはもちろん後に続く曲が、……曲名を書くか。セカンドシングル「ヒトリノ夜」、続いて「ミュージック・アワー」、「サウダージ」、「サボテン」。うん、そりゃあ消えるはずがないわ。
ただ「ポルノグラフィティ」がメジャーになったおかげの功績として、単に「ポルノ」と聞いた時に「どっちのポルノ?」という思考が聞いた側に働いてくれるため、そっちのポルノなら音楽の話だという前向きなリアクションを期待してもらえるという、利点が生まれている。まあ堂々と「ポルノがさー」と友達が話し始めたら、あっちのポルノの可能性も低いだろう。これはファンからの愛称が「ポルグラ」でも「グラフィティ」でもなく、まんま「ポルノ」になってしまったのが影響している。略称はもうちょっと考えてもらった方が良かったかもしれないが、後の祭りである。これに似たもので「アップルのニュース見た?」と聞かれて青森の事を連想する人が少ないのに似ている。つまり「ポルノ」と「アップル」が似ている。……はずがない。
「ポルノグラフィティ」はメンバーが広島の出身で、とても地元を大事にしているバンドとしても有名である。もちろん拠点は東京なのだろうが、地元凱旋公演を非常に大切にしており、ツアーには出来るだけ組み込む様にしているらしい。地元の小学校で無料ライブをやったり、学校の方でも授業で「ポルノグラフィティ」の歌を使ったりと、その交流は深い。まあ普通に考えて地元から有名人が出たらそれだけで一切交流がなくても誇りに思って応援してしまうものだし、当人たちがたびたび凱旋公演をしてくれたりした日にはもう、地元のヒーロー確定だろう。うーん、「ポルノグラフィティ」、いい奴らめ。名前に反して真面目で、いい奴らめ。